1 二度目の再会は突然に

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 花斗を起こさないように、そうっと寝室のドアを開ける。  もっとも、ここは私と花斗の部屋になってしまったのだが。  スヤスヤと眠る花斗を踏まないように気を付けて、床に敷いた布団に寝転ぶ。  今日は珍しく花斗の寝相が良い。私の寝るスペースが空いている。  花斗の上から落ちてしまったブランケットを彼にかけ、私は夏用の薄い布団を被った。  暦の上ではまだ春だけど、このごろはすっかり暑い。けれど、夜は冷える。  風邪でも引いてしまったら、職場にも姉にも迷惑をかけてしまう。 「おやすみ、花斗」  隣で寝息を立てる息子に声をかけると、ふと枕元に置いてあった花斗のおもちゃが目に入った。 「ちゃんと片付けなさいって言ったのに」  手に取った飛行機のおもちゃ。  これは、今日、壱月が拾ってくれたもの。 「壱月……」  連絡先をもらったにも関わらず、私は何もできなかった。  言いたいことが多すぎて、何をどう伝えたらいいのか分からなかったのだ。  息子の相手をしながら家事をすれば、壱月に連絡する暇なんて無い。  ……と、自分に言い訳をして、今日は連絡するのをやめてしまった。  そもそもあの時、壱月は私のことをどう思っていたんだろう。  何を考えていたんだろう。  今はどう考えているんだろう。  それを聞くのも、ちょっと怖い。  ――彼との別れは、いつも最悪だったから。
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