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ご飯のあともブロックを取り出し、先程と同じように街を組み立てた花斗。
「飛行機飛行機ブーン!」
ブロックの間を器用にぴょんぴょん跳び跳ねながら、大空を飛んでいるらしい飛行機を操縦する。
「この飛行機はー、外国に行きますー」
外国ってどこだよ!
心の中でツッコミを入れるも、楽しそうな花斗を眺めながら皿洗いをしていた。
この遊びにも、どうやら私は入れてもらえないらしい。
壱月は「皿洗いは置いといて」と言ったが、手持ち無沙汰になってしまっては手を動かしてしまう。
不思議な気分だ。
この前までは、あんなに花斗を取られるのが嫌だったのに、今はそんなこと何でもなかったことのように思える。
彼が父親だということを、まだ認めた訳じゃない。
けれど、こうやって距離が縮んでいくのは、何となく“恋人”として、嬉しいことのような気がした。
「いつきは、いつもどこに行くの?」
「うーん、色々行くけど……」
「外国も?」
「ああ。前に言ったろ。このブロックも飛行機も、買ったのアメリカだ」
「あめりかって、外国?」
「……外国だな」
こんな何気ない会話に笑みを漏らしてしまうくらいには、今の私は彼のことを認めているらしい。
あの日々は何だったのだろうと、一人苦笑いをこぼした。
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