12 花斗の未来を描いて

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 夜、花斗が寝静まったあと、壱月に呼ばれていつもの大窓のソファに座った。 「さっきのこと、でしょ?」  壱月は曖昧な笑顔で頷いた。 「あんな夢持たせて、いいのかって……こと?」  壱月はまた頷いた。  今度は、深刻そうな顔で。 「愛音は、どうやって伝えるつもりなのかなぁって」 「……考えたの。私、今までパイロットになれるだなんて、花斗に言ったことなかったし、『なれるよ』なんて、安易に答えたこと無かったの」 「うん」 「でも、壱月が憧れのパイロットだって知って、花斗、すごい笑うようになったから。……言ってもいいかなって」 「そうか?」  そうだよ。  花斗の笑顔を引き出したのは、悔しいけれどパイロットの壱月だ。  それで、私は嫉妬したんだから。  私は自嘲するように笑みを浮かべ、壱月の言葉に頷いた。 「花斗の夢は、パイロットになること。今は、それでいいんじゃないかなって」 「でも……」 「じゃあ、壱月は花斗の夢の芽を、つんじゃえる?」  壱月をじっと見つめた。  彼は、はっと目を見開いて、それからふっと笑った。 「やっぱ、愛音は強えや」 「そうかな?」 「うん、そう」  そう言いながら、壱月はこちらに向き直る。 「愛音、明日休みだったよな?」 「え? あ、うん……」 「じゃあ……」  壱月はポケットから取り出したスマホの画面を私に見せた。 「これ、行く?」
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