13 壱月は頼れるCAP

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 最後だけ、悲しい顔のまま笑った壱月。  その顔に胸がキュウっとなって、私は思わず顔を伏せた。  壱月のパイロットとしての想い。  副機長としての、責任。  空への憧れと、恐怖。  色々な事が頭に雪崩れ込んできて、ぐちゃぐちゃになっていく。  私が花斗を身籠ったあの時、壱月は壱月で、精一杯生きてたんだ。  そして、それは今も。 「ま、そんなこんなで大事なもん手放してんだから、しょーもないよな。本当……情けない。ごめん」 「ううん。……私も、ごめん」  自分のことばかりでごめん。  自分だけ可愛くてごめん。  自分だけ可哀想でごめん。  私だけじゃなかった。  苦しかったんだ、壱月も。 「それは、何に対して? 愛音は、悪いことしてねーだろ」 「うん……、そうだね」  顔をあげると、壱月はこちらを見ないまま私の髪をくしゃっと撫でる。  だから私も、大空から帰ってきたばかりの目の前の飛行機に、視線を移した。
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