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「え?」
「三日後だろ? 俺、ブリスベンから帰ってくるの昼過ぎだし、花斗のことは任せて」
「いや、でも……ってか、ブリスベンって」
「オーストラリア。……流石に知ってるか。明日のフライト、そこだから」
「ああ、うん……」
心配事はそこじゃない。
流石に、壱月に花斗のお迎えに行かせるわけにはいかない。
それに、ご飯はあれにしろお風呂も寝かしつけも、壱月に頼るわけには。
何より、飛行機を飛ばすなんて神経をすり減らすような仕事をした後だ。
壱月なら、尚更。
そんな仕事の後に、一人で花斗のことなんて……。
「ムダな心配してる」
「え?」
「ヨーロッパほど時間かかんない。アメリカほど時差もない。この先三日、天気も良好。問題なく戻れると思うけど」
壱月はそう言いながら、私の右肩をポンと叩いた。
「行ってねーなら、なおさら行くべき。同期なんだろ?」
「でも……」
「俺、パイロット辞めようと思ったときに止めてくれたのは、同期だった。やっぱ、同期って大事だと思うんだよな」
確かに、壱月の言う通りだ。
私が出産後現場に戻れたのも、同期の働きかけのおかげ。
壮馬は、本社に異動することも手引きしてくれようとした。
しばらく悩んでから壱月を見上げると、彼は“大丈夫だ”と言うようにニカっと笑う。
「うん……じゃあ、そうしようかな」
それで私は、壮馬に飲み会参加の旨のメッセージを送った。
[参加するの!?]
当然参加しないものだと思われていたらしい。
壮馬から、すぐさまそんな返信がきた。
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