14 母になった女、女になった母

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「え?」 「三日後だろ? 俺、ブリスベンから帰ってくるの昼過ぎだし、花斗のことは任せて」 「いや、でも……ってか、ブリスベンって」 「オーストラリア。……流石に知ってるか。明日のフライト、そこだから」 「ああ、うん……」  心配事はそこじゃない。  流石に、壱月に花斗のお迎えに行かせるわけにはいかない。  それに、ご飯はあれにしろお風呂も寝かしつけも、壱月に頼るわけには。  何より、飛行機を飛ばすなんて神経をすり減らすような仕事をした後だ。  壱月なら、尚更。  そんな仕事の後に、一人で花斗のことなんて……。 「ムダな心配してる」 「え?」 「ヨーロッパほど時間かかんない。アメリカほど時差もない。この先三日、天気も良好。問題なく戻れると思うけど」  壱月はそう言いながら、私の右肩をポンと叩いた。 「行ってねーなら、なおさら行くべき。同期なんだろ?」 「でも……」 「俺、パイロット辞めようと思ったときに止めてくれたのは、同期だった。やっぱ、同期って大事だと思うんだよな」  確かに、壱月の言う通りだ。  私が出産後現場に戻れたのも、同期の働きかけのおかげ。  壮馬は、本社に異動することも手引きしてくれようとした。  しばらく悩んでから壱月を見上げると、彼は“大丈夫だ”と言うようにニカっと笑う。 「うん……じゃあ、そうしようかな」  それで私は、壮馬に飲み会参加の旨のメッセージを送った。 [参加するの!?]  当然参加しないものだと思われていたらしい。  壮馬から、すぐさまそんな返信がきた。
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