14 母になった女、女になった母

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 それから三日が過ぎた。  壱月がブリスベンから帰ってくるだけでなく、保育園のお迎えにも来てくれるということで、花斗は朝から超絶ご機嫌だった。  朝、登園時に壱月がお迎えにくる旨を姉に伝え、私は今日の仕事を一日中ソワソワしながら終えた。 「あれ、店長。いつもは終業後ダッシュで帰るのに」  引き継ぎを終えた水瀬が、休憩室の椅子に座ったままの私に声をかけてくる。  いつもは参加しないから、居酒屋の場所がわからないと壮馬に伝えると、店まで迎えに行くと連絡があったのだ。 「ダッシュしてるつもりはないんだけど」 「そうなんですか? でも、いつも必死の形相ですよ?」  ああ、そうなんだと思いながら、いつもの様子を思い浮かべて苦笑いを浮かべた。  言われてみれば、ダッシュしているかもしれない。  すると今度は、壱月は花斗のお迎え行ったかな、なんて急に不安になってくる。 「今日はこの後予定があるんだ」  落ち着かない気持ちを誤魔化すようにそう告げると、「へえ、珍しい〜」なんて言いながら、水瀬が売り場へ出ていく。  それとほぼ同時に、休憩室の扉がノックされた。 「お待たせ、大木本さん」 「あ、いや、別に……」  笑顔で現れた壮馬に、違う意味でソワソワしだす。  同期での飲み会なんて久しぶりだ。  壮馬以外の同期に会うのだって、花斗が生まれてからはそんなにない。 「ははっ、緊張してる」 「してない!」  思わず言い返すと、「ごめんごめん」と笑いながら、壮馬に連れられ店舗を出た。
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