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「もう帰っちゃうの?」
情事の後の気だるさに微睡みながら体を起こすと、シャツを羽織る壱月が見えた。
「ああ。明日、朝早いんだ」
「そっか。せっかく会えたのに残念」
そう言うと、壱月はベッドに近づいてくる。
一糸纏わぬ私は恥ずかしくなって、シーツをキュッと胸元まで引き上げた。
壱月は微笑んで、私の頭をポンポンと優しく撫でる。
「また、会おうな」
その笑顔が余りにも爽やかで、好きだという気持ちが溢れ出す。
「うん」
だから、私も笑顔でそう返した。
これが、人生最悪の日になるなんて、その時は思いもしなかった。
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