2 言うべきか、言わざるべきか

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「で、話したいことって?」  ハンバーグを食べ終えた頃、壱月が急に話を切り出す。  花斗は窓の外の飛行機が動き出したと、またそちらに夢中になっていた。 「あー……」  何をどう伝えるべきか。  壮馬に『会ってみろ』とか言われたから、勢いで来てしまったけれど、私の心は決まっていない。  よし、ここは当たり障りのない話作戦だ。 「姉がさ、結婚するんだよね」 「へえ」  だから何だって話だ。壱月の相づちも、適当じゃないか。  そんな自分にイライラしていると、急に横から花斗の声が飛んできて、思わずピクリと肩を揺らした。 「ママー、次のお家、いつ見に行くの?」 「お家?」  壱月が聞き返すと、花斗は得意気に知っていることを話し出す。 「ママと僕ね、先生と一緒にすんでるの。先生、ケッコンするの。僕とママ、お家無くなっちゃうから、新しいお家さがしてる……だよね?」  急に自信を無くしたのか、花斗は疑問系の語尾をこちらに投げかける。 「あー、えっと、そうだね。あ、先生ってのは私の姉のこと。保育園の先生なの」  花斗のカタコトの日本語を通訳しながら、住む場所がなくなることをかいつまんで壱月に話した。 「ああ、なるほど、そういうこと……」  壱月は顎に指をあてしばらく考え込む。  それから、ふっと息を吐き出して、こちらをじっと見つめた。 「住むとこないなら、うち来れば?」
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