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3 二軒隣のタワーマンション
私は今、花斗を抱き抱えて壱月の家の玄関に立っている。
正確には、壱月の住んでいるマンションのエントランスの前だが。
その建物を見上げたまま、私は唖然とした。
はっとして隣を見れば、花斗もあんぐりと口を開けたまま首を上に向けていた。
「何階に住んでるの?」
「一番上」
「ふぇ!?」
思わず変な声が出た。
「とりあえず、来いよ」
壱月はエントランスの中にスタスタと入っていく。私は慌てて彼の後を追った。
乗り込んだエレベーターはぐんぐん上がって、最上階である四十階に到着する。
その扉が開くと、壱月はホテルのような絨毯の上を進む。
その突き当りまでさっさと歩いていくと、そこに自身の持っていた鍵を差し込んだ。
え、うそ、角部屋なの!?
謎に高鳴る心臓を、ふうっと息を吐き出して抑えていると、「早く来いよ」と壱月が手招きをする。
「お、お、お、お邪魔します!!」
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