3 二軒隣のタワーマンション

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 畏れ多くも、その室内に一歩踏み入れる。  反応した玄関灯がピカッと入り口を照らして、それから部屋内の照明を順に灯していく。 「わぁ、飛行機! ママ、飛行機!」  花斗がぴょんぴょんと器用に私の抱っこの中で跳ねる。  花斗の指の先を辿ると、飛行機の模型が飾られていた。  もちろん、花斗の持っているおもちゃのような物ではなく、本格的な仕様だ(多分)。 「これは、ボーイング747SRの100、別名スーパージャンボ。『ジャンボ』って愛称で親しまれてたんだけど……知らねーか。もう今は飛んでないんだけどな。……あ、触るなよ?」 「はーい」  壱月の上機嫌な解説にお行儀よく返事をした花斗。  その頭を「偉い偉い」と撫でながら、壱月は先に部屋に上がり、リビングに続く戸を開けて待っている。 「どーぞ」  その声に、私も部屋に上がらせてもらおうと、靴を脱ぐために身を屈めた。  すると、花斗は私の抱っこからするりと降りて、さっと靴を脱ぎ捨てる。 「あ、こら、花斗!」  言うも虚しく、花斗は壱月の脇をも通り抜ける。  そのままリビングらしいその部屋の中をたったと突っ切って、その先にある窓にへばりついた。  壁一面がガラスになっている窓だ。
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