3 二軒隣のタワーマンション

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「パイロットのお兄ちゃん、」  不意に花斗が振り返った。 「ここで毎日飛行機見てたら、僕もパイロットになれるかな?」  壱月は花斗のキラキラした視線に応えるように、爽やかな笑みを浮かべた。 「おおー、きっとなれるぞ!」  すると、壱月を見ていたその小さな二つの瞳が、ギロリとこちらに向けられる。  嫌な予感しかしない。 「ママ、新しいおうち、ここ!」  はぁぁぁ~、やっぱり!  落胆の叫びを心の中で上げながら、深いため息をつく。 「ぜったいここ! ぜったいぜったいにここ!」 「あー、うん、考えておくね」  苦笑いを浮かべながら、便利な日本語を並べて返すと、壱月は「ごめん」と小声で謝ってきた。  それから、空いているという部屋や他の部屋も一通り見せてもらう。  「もっとここにいたい!」と暴れる花斗を引っ張りながら、二軒隣の我が家に帰宅した。  帰り際、壱月は「いつでも連絡して。フライト以外の時ならすぐ返す」と付け加えてくれた。
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