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仕事を終え、花斗を迎えに行き、その帰り道。
「今日はお外でご飯です」
そう言うと、花斗はすぐに「わーい」と声を上げる。
抱っこから降りてくれた花斗の小さな手をとり、駅前の格安ファミリーレストランに入った。
高校生や大学生が多い店内で、こちらに手を振る男性がすぐに目に入る。
「壮馬だ!」
気づいた花斗が、一目散に店内を走っていく。
「あ、こら!」
そう言うのと、花斗が壮馬の足元に抱きつくのはどちらが早かっただろう。
壮馬は花斗の勢いに一瞬よろけたけれど、そのままぎゅっと花斗を抱きとめてくれた。
「ごめん、壮馬」
「いいよいいよ。元気だね、花斗くん!」
「うん! 壮馬は? 元気?」
「もちろん、元気もりもり!」
壮馬はそう言って花斗に両腕で力拳を作って見せた。
優しくて面倒見のいい壮馬は、こうして時折花斗と一緒に夕食を取ってくれる。
「愛音も気分転換になるでしょ?」と、別れても優しい壮馬の発案だった。
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