4770人が本棚に入れています
本棚に追加
「これ、全部壱月が作ったの!?」
ダイニングテーブルの上に並べられたお皿の上には、レタスとミニトマトが添えられた唐揚げたち。
それも、微妙に色が違うのが三種類。
それから、ほくほくなポテトサラダ。
隣のガラスの容器に入っているのは、イカのマリネだろうか。
「そ。これはにんにく醤油、こっちは塩麹。あと、赤唐辛子。これは大人向けな」
「へぇ〜」
壱月は得意気に指を差しながら唐揚げの説明をする。
思わずテーブルの上に釘付けになっていると、隣で花斗がぴょんぴょんととび跳ねていた。
「ママ、見えない!」
なるほど、今までローテーブルだったからあまり意識してこなったけれど、花斗にはダイニングテーブルは高いらしい。
「花斗、ほら」
壱月が花斗を後ろからひょいっと両脇を抱えて持ち上げる。
すると、「ほぉーー」という歓声が花斗から漏れた。
「唐揚げ! 唐揚げ!」
「唐揚げ、好きか?」
壱月が後ろから花斗の顔を覗く。
「うん! こーんくらい好き!」
花斗はめいっぱい両手を広げて、その大きさを表現した。
「ははっ、そうかそうか」
壱月は本当に嬉しそうに目尻を下げて、花斗を床に下ろした。
「今取り分けてやるからな」
そう言って壱月はメラミンのお皿に唐揚げを乗せていく。
「ありがと、壱月」
「おう!」
壱月はその爽やかな笑顔を私にまで向けるから、思わず胸がまたドクンと高鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!