4 唐揚げ、時々、イヤイヤ

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 思わずため息が漏れた。  寝るのが遅くなれば、明日の朝の不機嫌モードがレベルアップするのは目に見えている。  そうなれば、私の不機嫌モードもレベルアップしてしまう。 「寝ーるーよ」 「やーだ」 「じゃあ、ママ先寝るよ?」 「だめ、ここにいて」 「ここじゃ寝れないよ」 「じゃあ寝ないで」 「えー」 「やーだ……やーだ、やーだ!」  現れてしまったヤダヤダ星人にイライラゲージが振り切れそうになった刹那。 「……っ!?」  口から心臓が飛び出そうになった。  壱月が、私の腰を突然抱き寄せたのだ。  耳元で壱月がふっと笑う声が聞こえる。  先ほどまでと違うゲージが振り切れそうになったその瞬間、壱月は花斗の名を呼んだ。 「はーなと。花斗がママと寝ないなら、俺がママと寝ちゃうからな~」  その声にはっと振り返った花斗。  こちらの状況を察したのか、慌ててちょこちょこ駆け寄ってくる。 「ダメ!」  花斗は必死に、私と壱月をひっぺがそうとする。 「子供って案外チョロいな」  壱月は私の耳元でそう言ってから、クスクス笑って離れていった。  はぁ~~~~っ!?  壱月の発言が信じられない。  思わず彼を睨んだ。  ――今まで、私がどれだけ……。  しかし、そのまま花斗に手を引かれて寝室に入ってしまったから、彼がどんな顔をしていたのかは分からなかった。
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