7 甘やかされて傷付いて

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「ママー、いつきのお迎え、いこ?」  花斗の思い付きに、私は危うくスマホを落としかけた。  今日のご飯は何にしようか、スマホ片手に時短簡単メニューを探していたのだ。 「は?」  彼の方を向くと、花斗はこちらにキラキラお目目ビームを炸裂する。 「ママ、いつき、きらい?」 「いやー、そういうことじゃなくて、ねー……」  この子はどこでこんなにあざとい技を覚えてくるのだろう。  苦笑いとともに、冷や汗が出てくる。 「……ほら、壱月の帰ってくる時間、分からないし」  我ながらナイス言い訳!  心の内でドヤ顔をキメていると、花斗は隣で唇を尖らせる。 「えー、いつき、喜ばせたかった」 「何で? 別に――」 「いつき、たくさんお話してくれる。ベッドも、お椅子も、嬉しかったから、僕も……」  花斗はよほどがっかりしたのか、目に涙を溜め始める。  そしてそのままうつむくと、ひっくひっくと静かに泣き出した。
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