7 甘やかされて傷付いて

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 その日はいつになく早く夕飯を食べ終わった花斗。 「ごちそうさま!」  言うが早いか立ち上がり、お皿を片すことも忘れて、まだおかずを食べていた壱月の手を引っ張る。 「いつき、飛行機しよー?」 「俺まだ食ってるんだけど」  壱月はそう言いながらも、どこか嬉しそうだ。 「ママでよければ、先に遊んでようか?」 「ヤダ! いつきと一緒がいい!」  私の提案を一蹴りし、花斗は壱月の手を引き続ける。 「ごめんね、落ち着きがなくて」 「いいって。花斗が喜んでくれるのが、俺も嬉しいし」  壱月はそう言うと、残りのご飯を急いで掻き込んだ。  それからすぐに、壱月と花斗のおもちゃの箱の開封式が始まった。 「おお~」  箱から飛び出した本格的なディテールの飛行機のおもちゃを、花斗はそうっと手で握る。  こういうところは、やたらと慎重だ。 「ぶーんって、していい?」 「どうぞ。それは、もう花斗のだから」 「やった!」  花斗は嬉しそうに飛行機のおもちゃをかかげて、「ぶーん」リビングからダイニング、キッチンへと走り回る。  その様子を目を細めて見つめる壱月。  微笑ましい光景だが、私の胸の奥はもやもやし始めた。  あの笑顔をここまで育ててきたのは、私なのに。  そうやって、簡単に自分の手柄みたいに……。
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