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部屋に入ってベッドにダイブする。
枕に顔を埋めると、布団を頭から被り叫んだ。
「あ゛ーーーーっ!」
こうやって、込み上げる思いを飲み込むのは何度目だろう。
育児のイライラの度にやってきたけれど、今回のそれは今までで一番酷いかもしれない。
それから喉元を両手で包んで、必死に涙を止めた。
こうすると、不思議と気持ちが落ち着くのだ。
花斗には、こんな情けない姿は見せたくない。
けれど、溢れ出した想いをその場で飲み込めるほど、私は強くない。
花斗の前では強い“ママ”でいたいのに。
しばらくして落ち着きを取り戻した私。
花斗とお風呂に入り、寝かしつけた。
新しい飛行機のおもちゃを抱きしめたままの、幸せそうな寝顔を見ながらその髪を優しく撫でる。
「ごめんね、花斗。こんなことで心の余裕がなくなるなんて。ダメだなぁ、私」
すやすやと寝息を立てる花斗。
見ていると、自分の小ささにため息がこぼれた。
その時、部屋の扉が控えめにノックされる。
私は部屋の扉をそっと開けた。
「花斗、寝た?」
内緒話をするような声で、壱月が言う。
リビングの明かりに照らされた彼の顔は、暗がりの中でも困ったような顔をしているのが分かる。
私がコクンと頷くと、続けて壱月は私に言った。
「ちょっと、いい?」
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