8 憎悪と嫌悪と愛と恋

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「ずっとずっと、愛音が好きだった」  その言葉に、思わず壱月を見上げた。  けれど、この位置からでは、壱月の顎しか見えない。 「再会した時も、変わらない愛音が好きだって思った」  それは、どの私? 「でも、今ここにいる愛音は、……変わったんだな。ちゃんと、母親なんだな」  そうだよ、私は……あの頃とは違う。  仕方ないじゃん、。  子供が出来て、環境が変わったら、私自身も変わらざるを得なかったんだから。 「でも、やっぱり愛音は愛音だった。無理して笑って、周りに気を使うくせに、……時々暴走する」  え、そうかな……そうだね、言われてみれば。 「俺は、そんな愛音の力になりたかっただけなんだ」 「……ウソ言わないでよ」  思わず漏れた一言に、壱月はふっと腕を緩める。  そして、「ははっ」と自嘲するように笑うと、指で自身の目元を拭った。 「嘘……か。そうだよな」  そうだよ。  私は、いつだってあなたに傷付けられてきた。  初恋を笑い話にしたのは、それ以上胸を抉りたくなかったから。  花斗が産まれるまでは、これでよかったのかってずっと悩まされた。  花斗を産んでから今まで、一人で走り続けなきゃいけなかったのは……全部全部、あなたのせい。
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