1 二度目の再会は突然に

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 平日の午前中の空港の屋内デッキは人が少ない。  空いているベンチを見つけて走っていった花斗(はなと)は、我が物顔でそこに座る。  離陸する飛行機の一番見やすい、花斗の特等席だ。  目の前の大きなガラス窓から、目下に滑走路が見えるのだ。 「ママ、遅い」 「はいはい、ごめんなさい」 「『はい』は一回でしょ!」 「はい」  二歳児の小言を受けながら彼に水筒を手渡すと、自分で開けてピュッと飛び出してきたストローに口をつけた。  もちろん、視線は目の前の飛行機たちに釘付けだ。  器用になったな、なんて、こんなところにも子供の成長を感じながら、私も花斗の隣に座って自分のタンブラーを取り出した。 「あのパイロットさん、あの飛行機に乗ってるのかな?」 「ぶえ、ゴホッゴホ!」  突然の息子の呟きに、飲み込みかけていたお茶が変なところに入ってしまう。 「あーママ、こぼした」 「ごめん」 「あー、もう片付けが……」  花斗は、いつも自分がご飯をこぼした時に私がする口癖を真似をする。  それで、思わず笑ってしまう。  壱月との再会のせいで胸がモヤモヤしていた。  けれど、それを花斗が吹き飛ばしてくれたような気がする。 「笑わないでよ!」 「ごめんごめん」  そう言いながら、また思わず笑ってしまう。  花斗は「もう! 知らない!」と怒りながら、もう次の飛行機に目線を移していた。
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