8 憎悪と嫌悪と愛と恋

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「待って、ちょっと意味分かんない」  言い訳をするように言葉を並べる壱月。  思わずそう言うと、彼はガシガシと自身の頭を掻いた。 「じゃあ何であのとき付き合ってくれなかったの……?」 「仕方ねーだろ、俺はあん時石川県の全寮制の専修学校に入学決まってた。愛音はこっちの大学だったろ。付き合えても、愛音が寂しい気持ちになるのは嫌だった。俺も……会えなくて寂しいのは、嫌だったんだよ」 「でも、石川県なら……」 「そのうち二年は、アメリカに留学することが決まってた。だから、会えなくて寂しいくらいならって、振り切った……いや、振り切れなかったからキスしたんだけど」  壱月はもう一度小さな声で「ごめん」と言った。 「これが、一つ目」  じゃあ、壱月はあの時からずっと……?  まさかね。  じゃなきゃ、あのとき私の手を離さなかったはず。  そう思ったのに、壱月は意外な言葉を口にした。
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