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「二つ目。せっかく再会したのに、連絡を絶ってしまってごめんなさい」
「は……?」
「まさかアプリで愛音とマッチングするなんて思ってなかったし、これは運命だ、なんて思って舞い上がって……」
嘘……。だって、壱月はあのあと──
「テンション上がりすぎて、調子に乗って愛音を抱いた。あのときは、離れるつもりはなかったんだ。ずっとそばにいようって、もう手放すもんかって……でも、」
「言わないで」
思わず壱月の言葉を遮った。
聞きたくなかった。
どんな内容だとしても、私の人生を狂わせた、たった一度の夜の過ちの言い訳なんて聞きたくない。
「愛音……」
壱月は迷子のように視線をさまよわせ、やがて自嘲するように笑みを浮かべた。
「そっか、そっちは笑い話にはならないか」
「……そうだよ」
あの夜のことは、笑い話になんてできない。
そうできてたら、どんなに良かったか。
私の胸をまた憎悪と嫌悪が支配し始める。
それで、自分が期待していたことに気付く。
ため息がこぼれた。
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