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9 好きっていう気持ち
「壱月、好き……ふぁ、は……」
「ん……俺も」
長い長い口づけの合間に、愛の言葉を交わした。
大きな背中を抱き締めて感じる、彼の体の熱さと汗の湿った感触――
私は壱月に抱かれていた。
幸せな気持ちに、満たされながら。
身体は自分のものじゃないくらいに疼いて、もっと奥まで彼を求める。
勝手に腰が動いて、気持ちいい所にその熱を当てようとする。
満たされているのに、どうしようもなく彼を求めてしまう。
「壱月、もっと……」
すると壱月の手が私の胸に触れ、身体がピクンと震えた。
「や……」
「嫌? 今更そんなこと、言えねーだろ」
すると途端に、彼の顔が黒い笑顔に変わっていく。
「え……?」
その疑問符は、彼の口付けが奪っていく。
そのキスは、私の中をむさぼるように激しく口内を責め立てる。
「やめて!」
怖くなって壱月の胸を押し返した。
けれど、それはびくともしない。
壱月はニヤニヤと口角を上げたまま、私の手首をがっちりと捕まえた。
「やめれっかよ、今更。愛音だって、気持ちいいんだろ?」
想いとは裏腹に、彼が腰を動かせば厭らしい水音が響いた。
壱月が腰を動かす度に、その音はどんどん大きくなっていく。
彼を睨み付けると、黒い笑みはさらに深くなる。
「好きなんだろ? 俺のこと」
違う!
好きなんかじゃない!
やめて!
目頭がじわんと熱くなる。
体はこわばって動かない。
「いいね、その顔。ずっと見てたい」
壱月は身体を倒すと、私の耳にかぶりつく。
「ほら、もっと、俺に溺れろ」
耳元で囁かれた声。
背中にぞわりと粟立つも、壱月の腰つきはどんどん早まっていく。
怖い、ダメ、やめて……!
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