9 好きっていう気持ち

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 言いながら、一緒にため息も吐き出した。  好きだって言われても、甘やかしたいと言われても、妊娠が発覚してからの毎日は、帳消しにはならない。  壱月はあの日のままなのに、私だけがお腹で命を育んで、私だけが“親”になってしまった。  だから、花斗を取られたくないっていう独占欲が、親としてのプライドが、壱月を父親だと認めることを拒否する。 「ま、突然現れた父親に、手柄全部取られてったらたまんないよな」 「……」  何も言わない私に、また壮馬は苦笑した。 「ま、それはそのうち言うとして、さ。付き合う気は、あるの?」 「え?」 「告白されたんでしょ?」 「うん。でも……まだ、考え中」  謝られたからといって、壱月への嫌悪感が拭えたわけじゃない。  それに、“女”として壱月の隣に立つことに戸惑いがあった。 「新たに恋をしよう、だなんて、今更思わないしさ」  けれど、言ってから思った。  いや、口に出したから思ったのかもしれない。  壮馬はパスタを食べ終えて、アイスコーヒーのストローをカラカラ回している。 「……ねえ、壮馬」 「ん?」 「彼と恋、まだできると思う?」 「……俺に聞くなよ」  壮馬は自嘲するように「ははっ」と困り顔で笑った。
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