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「違う!」
急に花斗の大きな声が聞こえて、私は皿洗いの手を止めた。
そうっとリビングを覗くと、半べそをかく花斗とお手上げ状態と言わんばかりに困り顔を浮かべる壱月の姿。
「二階は、この色なの!」
「これは緑だろ?」
「違うもん!」
「でも、ここは赤だ」
「ちーがーうーのー!」
どうやらブロックでお家を作っていたらしい。
花斗は屋根と思わしき部分を力任せに取り外すと、バシンと叩きつけるように足元に向かって投げた。
「もっかい、やろう?」
「ヤダ!」
「もう一回、教えて?」
「ヤダ!」
花斗はその場に寝転がり、何もしないと意思表示を始めた。
こうなったらもう無理だ。
突如現れたヤダヤダ星人。
たじたじになった壱月にふふっと笑みを漏らしながら、私はヤダヤダ星人に乗っ取られた花斗の救出へ向かった。
「おうち、できた~?」
「んな訳ねーだろ」
おどけて入ってきた私に、壱月から不貞腐れた声が飛んでくる。
それを気にせず花斗の元へ向かえば、くるんと寝返りを打ち、顔を背けられてしまった。
恥ずかしいらしい。
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