11 私の決意

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「はぁー……」 「壱月……」 「花斗がここで毎日飛行機見てんの、パイロットになるためだよなぁ……俺、無責任すぎる」  壱月は小さくなった背中で、深い溜め息と、後悔の言葉を溢した。  責任を感じているのだろう。  窓の外では、羽田空港に飛行機が一機戻ってくる。 「でも、親でいるって、そういうことだと思う」  私は空港の方を向いたまま言った。 「え?」  壱月は顔を上げた。  私は続ける。 「自分の人生だけじゃなくて、子供の人生にも責任を持つの。全部の言動に責任がついて回るの。子供の責任者だもん」  壱月がこちらを見たらしい。  私はその視線が恥ずかしくて、窓の方を向いたまま続けた。 「花斗に、いつかは事実を伝えなきゃいけないよ。パイロットにはなれませんって。でも、夢を見るのも子供の仕事。事実を伝えた時に、絶望させるんじゃなくて前を向かせるのが、親の仕事。たくさん悩んだけどさ、そうなんじゃないかなって、今は思ってる」  ちらりと横を見れば、壱月は視線を一度下げる。  けれど次の瞬間、壱月が顔を上げたから、目があってしまった。  その瞳が「愛音、すげぇ」と言っているようで、私は慌てておどけた。 「なーんて、その時が来てみないとどうなるか分かんないけどね!」 「愛音」 「ん?」  次の瞬間、壱月は私に頭を下げた。深く深く、その背を折り曲げて。
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