11 私の決意

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「いいよ」  私はポツリと、でも自信を持ってそう言った。 「ああ。忘れろ忘れろ、あんなのとっとと……」 「違う」 「……は?」 「壱月と付き合うって、こと」 「……え?」  壱月は窓から視線を外し、ゆっくりとこちらに振り向き目を見開く。 「……ガチで言ってる?」 「うん、ガチ。本気と書いてガチ」  戸惑うその瞳をしっかりと見て、答えた。  ずっと、気持ちに靄がかっていた。  それは、壱月への“好き”の気持ちを誤魔化すために、“最低な男”というレッテルを壱月に貼り付けていたからだ。  どこかで、セーブをかけてしまっていたんだ、私自身が。 「愛音……本当にいいのか?」 「……やっぱりやめようかな」  気恥ずかしくなっておどけると、そんな私は再び彼の腕に包まれた。 「やだ。やめないで……」 「『やだ』だなんて、花斗みたい」  クスクス笑うと、壱月は腕をとき、代わりに右手で私の顎をすくう。 「俺は、花斗じゃないんだけど」 「わ、分かってるよ……」  そう言いながら、目線の先に壱月の顔が迫ってきて、心臓が急に騒ぎだす。 「愛音」 「な、何……?」 「目、つむれ」 「え……?」 「いいから」  言われた通りに目をつむる。  壱月の吐息が、顔にかかる。  ああ、これは……。  懐かしい口づけの予感。  肩に、つむったままの目に、唇に、思わず力が入った。
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