病院の大部屋がハーレムだなんて

01.今日からの入院生活

今日から俺は患者だ。

研修医として、この４月から病院で働いていた。その病院に入院することになったのだ。原因は過労。４月から３か月間休みなしで昼も夜も働いていたんだ、若くて体力があるって言ったって、倒れるに決まっている。

俺の身体には、心電図やら血圧やらコードがつけられて身動きもできない。いや、もともと過労だから、コードで繋がれていなくても動けないだろうけど。

入院初日。母親がお見舞いに来た。

「あんた、研修医になって、たった３か月で入院って。医者の不養生よ」
「うるさいなぁ。俺のこと何もわかってないんだったら、さっさと帰れよ。どうせ過労だし、すぐに退院できるから」
「もー、あんたって子は。心配してきてあげているのに」
「はいはい、じゃーなー」

俺は母親を病室から追い出した。母親以外は、見舞いに来るような人はいない。まぁ、過労なんだから、それほど切迫しているものでもないし、仕方ないだろう。

３か月間、ずっと働き続けたんだ。たまには１人で、のんびり時間を過ごすのもいいだろう。

俺が入っている病室は個室じゃない。大部屋だ。だから他にも患者がいる。けど、カーテンで仕切られているから、そんなに周りは気にならない。

テレビはついているが、今どきテレビってのもな。と思っていたら、タブレットが１人１台支給された。これならネット動画を見ることができる。

子どもの頃に入院した時は、テレビデオしかなくて、母親にビデオを借りてきてもらっていたけど、便利な時代になったものだ。動画視聴は無料ってわけにはいかないみたいだけどな。ま、それでもありがたい。

他の患者には、このタブレットについて説明をしていたみたいだけど、俺がこの病院の研修医だからなのか、あんまりちゃんと説明はされなかった。

さて、さっそく動画視聴でもするか。俺が普段使っている奴とはシステムが違うみたいだな。
へー、解説AIが内蔵されているなんて、中々しゃれている。こんなのを、うちの病院は作っていたのか。知らなかった。

お勧めも出してくれるみたいだし、この説明が終わったらダウンロードをして視聴するかな……って、なんか解説が長いな。やばい、だんだん眠くなってきた――。