05.ハーレム病室の真相

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05.ハーレム病室の真相

意識が回復し、目を開けると俺は病室のベッドの中にいた。 服も着ている。 どうやら寝落ちしていたらしい。 あのハーレム状態は、もしかして夢だったのだろうか? それにしては、気持ちよすぎるものだった。 それに、あんなに疲れていた体の疲労もなくなっている。 部屋のドアがノックされ、男の主治医の先生が入ってきた。 「おはようございます。今野さんは5日も寝ていたんですよ」 「えっ!?」 俺は驚いた。 そんなにも寝ていた記憶がない。 だが、それだけ寝ていたのだから、身体が軽いのも頷ける。 主治医は簡単に診察をすると、頷いた。 「これならもう大丈夫だね。今日、退院してもいいよ」 「本当ですか! やった!」 主治医は、俺の身体につけていたコードを外していく。 「いやしかし、さすが若いねー。それよりもお金大丈夫なの?」 「?」 主治医は、笑いながら部屋を出ていった。 一体どういうことだろう? 点滴をして、寝ていただけなんだから、対してお金なんて取られるわけないのに。 俺が研修医だから、そんなことを言ったんだろうか? 俺は不思議に思いながら荷物をまとめ、受付に行く。 「今野様ですね。お会計は150万円になります」 「はいはい、150万ね……って、150!?」 俺は驚きのあまり大声をあげた。 実は、病院が収益を増やすためにVRを導入し、グレーゾーンサービスを試験的に始めていたらしい。その端末が、あのタブレットだ。そして俺は、1日1万円かかるサービスを、毎日20人分受けていた。つまりそれだけでも単純計算で、20万円かける5日だ。その途中で、オプションなどもつけさらに値段をあげていたというわけだ。 そして俺は、初めは大部屋にいたが、あまりに俺の喘ぎ声が大きすぎたので、個室に移動させられていたらしい。確かに、目覚めた時にいた部屋は個室だった。 研修医として復帰した後、指導医に開口一番「あれは見れたものじゃなかった」と怒られた。 そんなことを言われても、俺だって困る。 あれが周りの人に見られていたなんて思っていないわけなんだから。 だが、当然こんなサービスは運用されるわけもなく、ボツとなった。というより、女性職員からのクレームがひどかった……。 俺はというと、入院費を支払うために馬車馬のように働かなくてはいけなくなったが、あの時の入院の出来事は思い出しただけでも幸せな気持ちになれる。ハーレムはやはり男のロマンだ。
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