![006c2f5c-483a-410e-a7ae-8a3e712c8244](https://img.estar.jp/public/user_upload/006c2f5c-483a-410e-a7ae-8a3e712c8244.jpg?width=800&format=jpg)
今はちょっとだけ昔、暇を持て余したリチャード・シンクレアは、フランスにいて何か葉っぱを吸っていました。時は1983年でした。
ああーあー。南フランス平和でいいよなー。バンドみんなクビにされちゃってさー。暇だー。あー。でも葉っぱ美味えなー。鼻血が出るまで吸いまくるかー。重要なのはそれだけだしさー。
その時、スッと差し出されたのは、ああなんと言うことでしょう。光り輝くパンクウィード、誉れ高きワイアット草荘の極上の一本でした。
えー?シンクレアの視線の先には、偉大なる爆弾魔、ヒュー・ホッパーがやっぱり暇を持て余したいたのでした。
なあチャーやん。暇だよなー。俺も暇だぜー。何せこないだゴーやん死んじゃったしなー。今ゴーやんロスでキツイんだよ。
実際ヒュー・ホッパーは80年代はパッとせず。辛うじてモンスターバンドで一発ギグやっただけで、音楽活動はしていなかったのでした。
せっかく南フランスの長閑な自然感じてんだからよー。一丁やってみねえかー?曲はあるんだぜー。俺の浮遊感凄い奴。
その頃シンクレアはそれどころではなかったのでした。ワイアット草荘の葉っぱは強烈でした。グラグラの石になって固まりつつありました。
いいんじゃねえかなー。お前のファズベースに俺のよー、牧歌的なボーカルが合わさればよー、面白いのが出来んじゃねえかなー?あーキンクリ。ゴールドエクスペリエンス。あー。無駄だー。無駄無駄ー。
そこでシンクレアはちょっとカマをかけたのでした。シンクレアの脳裏にはアサーテーカーがありました。ホッパーがコフランみたいにシンクレアのボーカルをディスったら、絶対組まない。そう考えていました。
あー。あれかー。お互い若かったしさー。でもよかったじゃねえか?お前のボーカル好きだぜー?
ちょっと胸キュンしたシンクレアがいました。
よっしゃー。やってやるかー。そう言えばよー、ヒューやんお前バイクどうしたー?
バイクはとっくに売っぱらっていました。ホッパーは金困は間違いないのでした。
いいギグにしようぜー。ゴギギギギギ。
楽しくなってきやがった。ブンブンブン。
二人のベーシストのエコー的残響はユニゾンで響き渡り、その後録音されたギグは、しかし全く相手にされず、しかし、彼等の産み出したサムウェア・イン・フランスは、マニアックなロックフリーク達に、確かな驚きと衝撃が齎され、受け入れられていったのでした。
ジャズが。
みなさんこんにちは。洲原敷いちろうです。
今日は久々に奴等ですよ。アバンギャルドの雄ヒュー・ホッパーと、生けるカンタベリーマシーン、リチャード・シンクレアのマイナーすぎるアルバムをご紹介。
実際相手にされなかったのは事実です。録音されたのは83年、しかしリリースされたのは13年後の1996年でした。
80年代は辛い時代だったんですね。プログレのレッテル貼られた彼等に活躍の場所なんかない。その頃世間はどいつもこいつもピストルズだのロンドンコーリングだの言っていたのでした。しかしホッパーはめげませんでした。90年代にパンクやニューウェーブが下火になると途端にホッパーは活躍しまくり、ケイブマン・ヒュースコア、ハイスポット・パラドックス、デルタフロラ、マーク・クレイマーと組んだヒュージ。
とにかくヒューヒュー言っていましたからね。
脂の乗り切ったホッパー無双期のアルバムとあっては放っておけなかった。
シンクレアホッパーのタッグなんて熱すぎるだろうと。前は要らねえと思ってた小生は馬鹿です。
配送予定日大幅にすぎたがあーよかった。ありがとなアマゾン。
初っ端から飛ばしまくるホッパーのファズベース。ロング・リンガーズ・オータム・タイムが凄すぎる。そりゃあ秋も長引きますわ。
哀愁たっぷりのフランスの幻想的バラード。曲の終わりの教会じみた鐘の音がいいね。マイフェイバリットは勿論これ。凄えいい買い物しちゃって大満足ですよ。
2曲目3曲目も好曲が続きます。2曲目のざっくりした歴史はシンクレアらしい牧歌的な諧謔性全開の曲。3曲目のキープ・オン・キャリングなんか優しい曲ですね。タイトル通り。
っていうかシンクレアのチャーチャーしたエコー的残響が聞けるのは完全にこれだけ。貴重すぎるよシンクレア。まるでロバート・ワイアットみたい。
6曲目は珍しくギターに手を出した貴重なシンクレアの一曲、ビデオショーズは完全にハットフィールド・アンド・ザ・ノースの世界。
ドラマーはワイアットでもコフランでもパイルでもないけどジャコパスのバンド仲間のフランス人が叩いてるみたいで、ハイハットが心地いいんだよなあ。
ワイルドフラワーズ以来のゴールデンコンビ復活の記念すべき1枚を超オススメします。ソフツのアバンギャルドとキャラバンの牧歌性が共存した奇跡のようなアルバム。もっと出して欲しかった。
ところで今回のアルバムは全く商業ベースで相手にされなかった訳なんですが、ケイブマンヒュースコアに拾われるまで何してたんだホッパー。
80年代にイギリスやフランスで爆弾事件起きてないといいよなってところでまたねー。音楽あれやこれや。
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