遠花火

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静寂を破るように、花火がドンッと鳴った。盛夏、うだるような暑さの夜だった。 節くれだった男の指が、浴衣の裾を割る。儀礼的な抵抗を見せたものの、修二はその動きを好きなままにさせていた。 吐息が首もとをくすぐり、唇がタバコの匂いのする唇に塞がれた時、こんなものかと全てがふっ切れた気がする。 自ら名も知らぬ男の首に手を回し、次の動きを催促するように、唇を激しく鳴らす。男の目がだらしなく緩み、修二の青さの残る白い肌を徐々にあらわにしていく。
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