遠花火

3/11
前へ
/77ページ
次へ
甘い痛みと心地よさに、修二の口許から吐息がこぼれた。首許から胸へと這う生ぬるい舌は、修二の息遣いをさらに激しいものへと変えていった。 彼を纏う布の全てが取りはらわれ、彼の全てがあらわになると、男はその動きをさらに激しいものへと変え、だんだんと下へと移動していく。 修二の思考は完全に停止した。この快感を与える男がもはやどこの誰かとかは関係なく、初めて自分の体に触れる男だという感傷もどこかへ飛んでいった。 花火は勢いよく、鳴り続け、部屋をカーテン越しに赤や黄色に染めて行く。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

216人が本棚に入れています
本棚に追加