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「間違えてたらごめんなさいなんですけど。
俺、髪色って片方の親のをそのまま受け継ぐか、混ざるかのどっちかかなって思ったんです」
例えば、レマラック家ではお父様が銀髪で、お母様が紫色の髪だ。そして、
ガイア兄様は母を受け継ぎ、紫の髪。
ブラッド兄様は父を受け継ぎ、銀色の髪。
俺は両方が混ざって、チャコールグレーの髪だ。
「それで、陛下のお髪は黄色に近い金色で、皇后陛下は紫色ですよね。
………黄色と紫って上手に混ぜれたら黒色になりませんか?」
自分の説に自信はなくて、恐る恐るそう聞く。
陛下を含めてその場の人全員が、驚いたように目を見開いた。
「エドワード殿下程の綺麗な黒色は、奇跡みたいな配分ですが……不可能な話じゃないと思うんです。
ちょっと皇后陛下の紫が強いんですかね?
……でもその分、お顔立ちは陛下そっくりですし……」
俺がそう言うと、陛下とエドワード殿下とが顔を見合わせる。その顔まで似てて、やっぱり血の繋がった親子じゃん、と確信した。
それは陛下も同じだったのか、震える手で口元を押さえて、そして。
「……では、私は今までずっと、勘違いをしていたのか。
エドワードは私の子で、皇后は不貞など…!」
そう陛下は叫び、皇后陛下はエドワード殿下を抱きしめるようにしながら泣き崩れた。
そこにジェラルド様が駆け寄って、さらに陛下も玉座から降りて近寄る。
「すまない、信じてやれなくて、すまなかった」
陛下が謝りながら、皇后陛下と殿下たちをまとめて抱きしめて。
嬉しさですすり泣く声の聞こえる謁見の間は、雪解けた野原のように柔らかい雰囲気で包まれた。
◆
その後、陛下は俺に冷たい態度を取ったことも謝ってくださった。王族側から俺の事を公式に拒絶すると、俺の名に傷がついちゃうから、この身内だけの場で冷たく接して婚約者になるのを諦めてもらおうって算段だったらしいです。なるほど。
そして、そもそもこのすれ違いが起こった原因だけど。
一つ目は、髪色の混ざった子が生まれてくる割合が5%ほどと少ないこと。更に金の髪はこの国には王家の血を引く者しかおらず、もっともっと数が少なかったこと。それで金髪と紫の髪から黒髪が生まれるという前例がなかった事。
二つ目は、その時他国から留学に来ていた黒髪の王子が、皇后様のことを気に入って口説いてたこと(そいつヤバいやつじゃん……)。それも話がややこしくなった原因だったっぽい。
何はともあれ、陛下と皇后陛下は、今は仲違いしていたなんて嘘みたいに、穏やかに仲睦まじく寄り添ってらっしゃって。
ジェラルド様もニコニコしているし、エドワード殿下は表情は分かりにくいけど、やっぱりちょっと嬉しそうだ。
こんな子供の思いつきで上手いこと解決するだなんてびっくりだけど、勇気を出して言って良かったなって、そう思った。
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