事故物件と恋心

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 二人の先輩はお互いの顔を見たあと、俺の方へ視線を送る。 「……いや、ほんとそれで大丈夫す。てか、今日だけ誰か泊まってくれたら、明日からは一人でいける、と思います。確かに怖いけど、先輩たちを巻き込むのは申し訳ないし」 「ごめんな、他に頼る人もいなくて、俺らしかいないのに」 「いやいや、ほんとに、ありがとうございます」 「……私も大丈夫ですよ」  小田原さんが呟くようにそう言った。 「え?」 「毎日ではなければ、お二人が無理なときは私がこの部屋に泊まらせて頂きます」  俺たちは目を合わせた。 「いやいやいや、それはダメですよ。ありがたい話ですけど、それはマジで申し訳ない」 「いやでもさ、この中で一番頼りになるのって実際小田原だよな。別にさ、何かするわけじゃないんだし、そうしてもらったら?」  矢形さんはとんでもないことを言う。ちょっと笑っているのは確実に面白がって言っているはずだ。 「よし、決まり! そうしよそうしよ。あ、俺さ彼女からライン来てて、そろそろ帰るわ」  尾野さんがケータイを片手にして部屋から出て行く。 「とりあえず、今日は俺が泊まってやるから。明日どうしよう? 俺は予定入ってるから、小田原いける?」  矢形さんは淡々と仕事をこなすようにそう言った。 「はい。大丈夫です」 「いやいやいや、マジで? 断ってもいいすよほんとに」 「大丈夫ですよ」  彼女は笑顔でそう答えたあと、俺と連絡先を交換して部屋を出て行った。
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