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”僕は野見山家から、松音を通さず、直接コンタクトを受けてるんです”
逆にこれは、一清が3姉妹とのことを見破られ、態度を豹変させてから言った言葉だ。それだけに、この言葉には「嘘がない」とも言えるだろう。3姉妹それぞれと「交際している」ことがバレてからは、何か開き直ったかのような態度を見せていたからな……。
これらのことを踏まえて、考え直すと。跡継ぎ問題をややこしくさせたのは、一清の「企み」が原因ではないかと思えて来た。
恐らく当家は、家を出て行ってしまった一人娘に、「交際している男性」がいると知り。松音の「現状」を知るには、その男性に今の状態を聞くのが一番確実だと思ったに違いない。なんせ「その時に応じて人格を変える松音」には、当家も手を焼いていたはずだからな……。
そして、当家の「使いの者」が、一清の元を訪れた……。
―使いの者―
「松音さんには、色々複雑な事情がありまして。当家としても、跡継ぎを任せていいものか、頭を悩ませていまして……」
―一清―
「色々複雑な事情、ですか。それはもしかすると、松音さんの『人格』に関することですか……?」
―使いの者―
「やはり、ご存じでしたか……」
一清との間で、そういうやり取りがあったであろうことは想像出来る。そこで当家の使いも、松音の多重人格について知っているならと、3姉妹のうち誰かの配偶者を……という「計画」を一清に打ち明けた。松音の「現状」を一番よく知ってるであろう一清にも、協力してもらえれば助かると考えて。しかし一清は、あくまで自分自身のために、一計を案じた。
”この際、竹乃や梅香の人格が『残ったまま』でも構いません”
”僕は実質、『1人』としか付き合っていない。それを浮気とは呼べないですよね……?”
これも、一清が「見破られる前」と「見破られた後」に、それぞれ言っていた言葉だ。この「浮気とは呼べない」と言い放った言葉が、奴の「本音」であるなら……。
一清の奴、当家の計画を聞いて、計画通りに竹乃と梅香が「消えてしまう」のが、惜しくなったんじゃないのか? キャラクターの全く違った「3人」と付き合えるという幸運を、手放したくなかったのでは……?
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