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妾といえども、嫁なのだ。 本宅が、喪に伏していようと、姑の所へ挨拶にくるのが筋というもの。   普通、貴族の家ならば、妾もひとつ屋根の下に暮らして、姑の采配を受けるものなのに。 実に合点がいかない。 嫁といい、妾といい……。 自分の立場というものを分かっていない者ばかり。 だが、子ができればいいだけの話。   当主の血筋の子であれば、正妻だろうと、妾だろうと、腹の種類は関係ない。   あとは、こちらで、しっかり育てれば、別段問題はないのだから。   子がいればこそ、家を存続することができる。   血筋を守ることこそが、貴族の女に課せられた仕事なのだ。 「なあ、向こうの女を、探ってくれまいか?」 主人の問いに、控える侍女は、小さく頷いた。
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