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「ご苦労であった。ああ、それから、このことは」 「はい。もちろん、他言はいたしません」 ――向こうの屋敷に、女はいなかった……。 そんなばかな。 侍女から聞かされたことに、姑は、耳を疑った。いや、息子にそういう嗜好があったと知って、ぞっとした。   侍女は長年側に仕えている信用できる女だ。さらに、細かく息子達の夜伽の様子を語られては、作り事とは思えない。 全く。女ではなく……男を抱いていたとは……。 「では、子は、生まれないということか」 女主人の呟きに、侍女も口惜しそうに頷いた。 「さても……」 跡取りがなければ、家は続かない。これでは、嫁の実家の思う壺だろう。   貴族の身分が欲しいと、娘を送りこんできた。このまま、子ができなければ、養子などと言って、新たな手先を送りこんでくるに違いない。   持参金目当ての婚礼のつけが、ここに来て出たか。 ……いや。 だからこそ、子を楯にすればいい。   妾に子ができないなら、嫁に産ませればいい話。そもそも、跡取りは、正妻の子供がなるものなのだ。   そして、向こうの家から、吸い取れるだけ吸い取って。 所詮は、金目当て……。 そうだ、そうであった。
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