王子様のような普通の男の子と再会したらどうなるの?

5/18
前へ
/18ページ
次へ
賄いから戻るとしばらくして須藤君は店内に戻って来た。 店が閉まる前に買い物をしてきた、と話しながら椅子に座った 彼らはそれから二次会に向かうようだった。 私はその夜は友達と遊びには行けず もう夜も遅かったから、須藤くんと話したことを報告しただけだった。 『えっ王子、上に上がってきたの?』 就業後、店長に呼ばれるとたい焼きの入った袋を渡された。 『須藤くん、エマちゃんの賄いを食べちゃったから渡して欲しいって、レンジで温めといたから食べながら帰りな』 ホカホカの鯛焼きは二つあったから友達と一つずつ食べた。 店のすぐ近くにある有名な鯛焼き屋さんだ。 中身は一つはつぶ餡、もう一つはカスタードクリームだった。 一緒に遊ぶ筈だったひなちゃんと駅に向かいながら分けて食べる。 もう遅いから話す時間があまりない。 『王子来たわけ?休憩室に?』 『そう、なんかびっくりして』 『なんで?』 『…なんでだろ、あっそううちの大学に入ったって』 『あっそうか、今日の店の予約の名前、うちの大学だったね』 『そう』 あの時の王子の笑顔は破壊的だった。 直視するのが難しい位だ まばゆいってあの事を言うんだろうなあ。 一緒に働いている時は見たことなかった。 あれは誰でも落ちるだろうな 鯛焼きはいつもと同じ味の筈なのに 彼にもらったというだけで、すごく特別に感じた
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加