9人が本棚に入れています
本棚に追加
週が明けて大学の入口から中に入る時、すごくドキドキした。
まさか王子がこの大学に入学してるなんて思ってなかたから。
とはいえ、この広いキャンパスは大学が同じでも学部に寄って最寄りの入口は違う。
経済学部の私は理学部生がよく使う食堂にはたまにしか行かないし。
でも、もしかしたら偶然会えたりしないかな。
そんな事を考えながら、
校庭を歩く。
理学部は確かこの先にあるけど
この道は毛虫が落ちて来るんだよね
4月は桜並木で綺麗だから
みんな撮影したりするけど
1ヶ月経つと
葉桜になって
緑はきれいだけど
丸々太って毛がびっしりついた長い虫が上にも下にも壁にも、と
なかなか落ち着かないスポットになる
あんまり向こう側に行くことはないけど、行かないと行けない時は
私は虫が苦手なので迂回して行くのよね。
向こうに王子がいないかなかなあ、と思いながら桜並木の先に目を凝らす。
その時、鞄の中にあった携帯に何か通知音がしたけど
まあ後でいいか、と確認しなかった。
『何を見ているんですか?』
後から声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!