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幼なじみ
「えっ……」
なに急に。やめてよ。
「あーもう、可愛すぎだって……相変わらずだなぁ……」
……ん?相変わらず?俺こんな人知らない。うぅ、お前誰だよ。
圭ちゃん助けてー!変人に捕まった!圭ちゃんは俺の幼なじみ。小さい頃に親の都合で海外に行っちゃった。
「ねぇー、今日転校生来るらしいよ?」
「マジ?え、どんな人?」
「マジでイケメンだった。あ、でもイケメンなだけじゃなくて優しげって感じ?」
「へ〜…」
クラスメイトの女子の会話が聞こえてきた。イケメンかぁ……学校にそんな人居ないからすぐ囲まれそう。
それから着くまで何も話さず結局抱きしめられたままで、学校の前で別れた。用事があるらしく、「一瞬で戻るから先行ってて」と言われた。いや来なくていいよ。電車の出会いからストーカー化してるよ。それにあなた学生じゃないでしょ。すっごいデカいし多分そう。思いながら教室に入る。もう朝イチ色々ありすぎて疲れた。机に突っ伏してその目を閉じるとすぐ眠りに落ちた。
空は朱色に染まって、オレンジ色の光が教室に射し込む。そこにはまた彼が居た。名前は知らない。そしてその彼は何故か俺の上に馬乗りになっていた。声を出したくても出せない。ただただ映像を見ている感じ。それから顔が近づいてきた。
「俺の事……忘れてたの?……まぁ思い出してくれてよかったよ」
ムッと頬を膨らませる。ムッと膨れた顔は似合わないけれど何処か懐かしい気がした。
そこで夢は終わった。騒がしい教室が静かになって目が覚めた。多分先生が入ってきたんだと思う。
「おはようございます。今日は転入生を紹介します。入って」
言われてガラガラと扉が開く。イケメン……かぁ。どんな人なんだろ。うつ伏せのまま、顔を前に向ける。ニコリと微笑んでいる人を見て息を飲んだ。先生は黒板に名前を書く。それを見て更に驚いた。
「転入生の篠原 圭人くんです」
「はじめまして篠原です。海外から日本に帰ってきました」
きゃー!!と大きな歓声か悲鳴か分からない声が聞こえてくる。鼓膜潰れそう……。
「じゃあ篠原の席は……鎌田の隣な」
俺?!……というかさっきの夢はなんだったんだろ……。よく分からないけれどあまり良くない雰囲気だった。てか、圭ちゃんイケメンになりすぎ!俺の知る圭ちゃんはちっちゃくて丸くてすっごく可愛かったのにー!
隣に来た圭ちゃんがニコリと微笑んで声をかけた。
「久しぶり。朝は大丈夫だった?」
「うん。久しぶりだね」
「僕さ、蛍に会うのすっごく楽しみだったんだよね」
あ……、蛍って呼ぶんだ……。前は「ほーちゃん、ほーちゃん」って言ってくれてた。まぁ会えただけでも凄く嬉しいけど。
「俺も。……あのさ、俺朝電車で圭ちゃんって分から無かった」
にへ、と笑うと圭ちゃんは眉を顰めた。
「それ危なすぎ……僕じゃなかったら危険だよ?」
なんか圭ちゃんの隣も危険な気がする……ってあれは夢か。
「圭ちゃんは向こうで何してたの?」
「ふふ、その呼び方久しぶりですごい嬉しい」
クスクスと笑ってから、ポツポツと話し始めた。
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