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しかし、次の橋を渡りつつある1台の車があり、その助手席にいた婦人が、川に飛び込む少年を見ていたのだ。
少年は川に流されながら気絶していた。
この二人は、N電機の社長夫婦で、たまたま東京に視察旅行に来ていたのだった。
彼女は、運転していた夫に車を止めさせ、その少年を救い上げた。
「どんな理由での行為か分からないけど、きっと大変な事があったのでしょう‥‥」
実は、その夫婦には子供がいなかったので、
「この子を私たちの子供にしましょう」
「こうなったのも何かの運命だろう」
と夫も了承した。
二人は少年を車に乗せると、走り去って行った。
その光景を見ていたBAR『かげろう』のマスターは、
『私にしかできないことが役に立ったようだ』
数日後、夫婦は夫の仕事関係の部下から電話が入り、元気になった少年を連れて大阪へ向かった。
――おわり――
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