BAR『かげろう』

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 とある橋まで来ると、少年は下を流れる川を見ながら、 「それに僕は両親を殺してしまった‥‥。もう生きてはいられないんだ‥‥」  少年の目から涙が流れた。  彼は、そのまま川に身を投げた。  が、近くを国鉄の車両が通過したため、その音は消されてしまった。  その体は川底に沈まず、川面(かわも)をゆっくり流れていった。  この暗さの中、その姿を認める者は、皆無といってよかった‥‥。
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