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結局私の猛反発によって結愛が伴奏をすることになった。
その日の放課後、私はふと思いたって、音楽室へ足を運んだ。するとそこには、神崎結愛がいた。
ニュアンスたっぷりの髪をなびかせて、ピアノの前に座っていた。
「美琴……。ありがとう」
「え?」
「私のピアノに価値をくれて、ありがとう」
「え?」
先程と全く同じ声が出た。
次の瞬間、辛さから隠し、忘れてきた思い出が沸き上がる。
「結愛、あなたは、あの時の……!」
「……正解」
そういって笑う彼女の顔は確かに、ゆーちゃんの顔そっくりだった。
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