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次に付き合ったのは、23歳の時。アタシは高校卒業後、ある企業のバスケ部に所属した。彼女は大学卒業後に、同じ会社に入社した。同い年だけど、社歴で言ったらアタシの方が先輩にあたる。
広報部に配属された彼女は、バスケの練習を頻繁に観にきた。取材だったんだろう。何回か話をしたこともある。本当に数回だけど、彼女からいい匂いがしたことは忘れられなかった。
彼女の匂いに気付いて、彼女のことを思うようになってから間もなく、彼女から好きだと言われて付き合うことになった。アタシのバスケをしている姿を見て好きになったということらしい。
彼女とは相性が良かったのか、長く続いた。一時期同棲もしていた。
若かったのもあるだろうけど、あの時のアタシは、彼女への愛が強すぎて、毎晩何回も彼女を抱いた。どうしても彼女を手放したくなかったし、彼女もそれを受け入れてくれた。
3年も4年も付き合ってたから、ずっとこの状態が続くんだと思ってたんだけど。
だけど彼女はある時、他の男性と結婚してしまった。その後、結婚退職した。
結局、男性には敵わないんだなとその時に悟った。
共通点は、アタシだけがその人の匂いに気付くこと。そして、その匂いの主を気にしていると、その人から近づいてくる。ということだ。
今付き合ってる美樹さんもそう。美樹さんも最後は男の人に取られちゃうのかな、と不安になってたら、
「私は希望だけだからね、安心して」って言われた。
美樹さんに抱きついたら、またいい匂いがしてムラムラしてきた。
「チューしてもいい?」普段なら聞かなくてもするのに、あえて聞いて、美樹さんが答える前にチュッとした。
アタシが気付くのは実はフェロモンだけじゃなくて、雨の匂いとか春の匂いとかもわかるんだ。
こういう嗅覚が敏感な人って何か得することあるのかな。
天気や気温の変化に気付くなんて、ただの自己満足に過ぎないし、フェロモンみたいなのだってアタシだけかもしれないけど、最後は悲しい終わり方するし……。結局は異性間でしか通用しないものなんだと思うんだ。
何でアタシはいつも同性のフェロモンを感じてしまうんだろう。
今は美樹さんとのラブラブな時間を楽しむことしか考えたくない。
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