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もし運命とやらが存在するのなら、それはいつから決まっているのだろう。人生において無数の取捨選択をしてきた結果が今に繋がっているだけで、それは運命とは異なると僕は思っている。
けれど、色恋沙汰とは無縁だった僕の隣で彼女が今こうして微笑んでくれているのは、彼のお陰であることは間違いないわけで。
そう考えると、あの奇々怪々な出来事は、彼の言う通り現実で、運命だったとしても悪くない。
突然、僕の前に現れた彼はミシェルと名乗り「今後の君の人生を左右するところだった」と豪語した。神様の遣いの天使だと言う。まぁ確かに、僕達のキューピッドではあるのだけれど…
出会ったのは去年の夏。大学の構内にあるカリカリに干からびた芝生の上だ。熱中症で頭がおかしくなったのかと思った。あれは、どう見ても――蝿だったから。
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