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ピエロの協力者
それから僕は週末に備えて一応ピエロの目撃情報や付近の不審者情報をネットで調べる。しかし、ピエロの目撃情報はおろかそれっぽい不審者情報も皆無だ。僕は何も有力な情報を得られぬまま週末を迎えた。
「一人目のピエロはどのあたりにいるんだ?」
「んーと、一丁目のあたりかな」
僕らは彼女を頼りに近くのピエロと接触を図るべく一丁目に向かった。
「この辺りのはずだけど、どこにいるんだろう」
「近くにいれば心の声が聞こえるかもしれないが何も聞こえないぞ」
一丁目に来たもののなかなかピエロは見つからない。あきらめかけた僕たちは近くの公園でひと休みすることにした。
「なかなか見つからないな」
「そうだね、この辺のはずなんだけどな」
僕たちがベンチでそんな話をしているとピエロが目の前に現れる。
「何かようかい? お二人さん」
「君を探してたんだ」
「そうなのか、知らないピエロが近くをうろうろしてるからびっくりしたよ」
どうやらピエロ同士はあまり近づくことがないらしい。
「用事の前にちょっと僕に付き合ってくれない?」
「僕はいいけど、杏はどう?」
「私もいいよ。でもそのあとで私たちの話も聞いてよね」
「もちろんさ、じゃあ行こう」
そういったピエロは一瞬にして同い年くらいの男子になる。そして少年はどこかへ向かって歩き出す。
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