ピエロの協力者

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公園に戻ってベンチに腰掛けると優が切り出す。 「僕の話の前に君たちの話は何だったの?」 「私たちはこの仮面の外し方について調べてるんだ」 「そう、例えばジェスターっていう涙マークのないピエロとか知らないか?」 「ジェスターっていえば僕に仮面をくれたピエロだよ」 「君もジェスターからもらったんだ! 居場所とか知らない?」 「居場所は知らないな」 どうやら二人は同じピエロから仮面をもらったようだ。しかし、優も居場所は知らないという。 「ほかに何かこの仮面で知ってることはないのか?」 「んー、僕が知っていることは杏ちゃんも知ってるんじゃないかな」 「ずっと笑顔になるとか死ねなくなるとか?」 「そうそう、その程度さ」 「そっかー、ところで優は何でピエロになったの?」 杏のその質問に少し黙った後優は重い口を開いて話し始める。 「僕の家は特別厳しくてね、特に成績は常に上位を求められたよ。だから小学校の時から僕は友達と遊んだことがないんだ。」 「え、そんなのつらすぎるよ」 「そうだね、はじめはつらかったな。でもそうするしかなかったんだ。成績が悪けれは夜ご飯を抜かれ、テストの点が悪ければ殴られたんだ。お風呂に沈められたこともあったな。」 笑顔のまま話す優に僕は黙って聞くことしかできなかった。 「だから僕は死ぬ気で頑張ったんだ。その成果もあって成績は常に一番でクラスでも周りから褒められて、先生からもとても期待されていたんだ。」 「それはすごいな」 「ありがとう。でもね高校生になるころには周りからの期待が膨れ上がっていて僕にはとても重たかったんだ。そのプレッシャーに負けてもう死のうかって時にジェスターと会ったんだ。これが僕がピエロになった経緯だよ」 先ほどプリクラを持って帰ると怒られるといったのはそういうことだったのかと僕は納得できた。 「やっぱりそんなのつらすぎるよ。私にも助けられることはないの?」 そう言った杏の表情は笑顔のままだったが、心の声は確かに泣いていた。 「ありがとう、でもそんな簡単なことじゃないんだ。それに、ピエロになったおかげで少し救われたんだ。君たちにも逢えたしね」 「そっか、じゃあまた遊びに行こうね」 「うん、でも二人の力になれなくてごめんね」 「いや、話を聞けて僕はよかったと思ってる。ありがとう」 「私もそう思う、ありがとね」 「二人とも優しいね。また何かあったら協力させてよ」 「ぜひ頼む、連絡先を交換しよう」 「私とも交換しよ!」 今日は情報は得られなかったが力強い協力者ができて仮面を外すことに一歩前進した。
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