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ピエロの噂話
僕たちは近くにいる二人目のピエロを捜索していた。しかし、二人目のピエロは2週間たっても見つからず捜索は難航していた。三週間目になった今日も、僕たちはピエロの捜索をしていた。
「ほんとにこの辺りにピエロがいるのか?」
「ほんとだよ! この辺のはずなのに」
なかなか見つからず疑心暗鬼になってきたころ一人の少女が目の前に現れた。
「なんで私のこと追いかけるの? もしかしてストーカー?」
「追いかけてなんか……、もしかして君もピエロなのか?」
「ピンポーン! よくわかったね」
ずいぶんと陽気な彼女はくるりと回ってピエロになる。
「私は谷口愛、よろしくね」
「僕は山本翔、よろしく」
「私は里中杏だよ。よろしく!」
自己紹介を済ませると愛は少女の姿に戻った。
「それで、なんで私のこと追いかけてたの?」
「聞きたいことがあって探してたんだ」
「聞きたいことって?」
「ピエロの仮面について聞きたいの」
「そう、ピエロの仮面について何か知らないか?」
「んー、教えてもいいけどその前に恋バナしようよ!」
急に恋バナなどと言い出した愛に僕と杏は顔を見合わせる。そんな僕たちを置き去りに愛は恋バナを始める。
「まず最初の質問ね、二人は付き合ってるの?」
「付き合ってないよ」
僕は即答した。杏にいらぬことを言わせないためだ。
「なーんだ、つまんないの」
「気が済んだなら仮面の話をしないか?」
「私を楽しませてくれたらね」
そんな無理難題に僕は頭が痛くなる。
「じゃあ二つ目の質問ね、好きな人とか好きだった人はいる?」
この手の話は杏に任せようと杏を見ると愛と同じで興味津々といった表情をしている。これは僕が答えるしかないようだ。
「好きだった人ならいた」
「どんな人だったの?」
「私も気になる!」
二人は眼を輝かせながら話を聞いている。
「嘘がつけない人で自分が思ったことを誰にでも言える人だった。」
「かっこいいね」
「そうだな、でもその子はいじめっ子にも思ったことを言っちゃうからよくいじめられてたんだ。僕はそんな勇気ないからこっそりその子と会って話をしてた。でもすぐに転校してっちゃったな。それが初恋だったんだ。」
「いい話だね」
「ねえ、それって……。やっぱりいい」
満足げな愛と対照的に杏は何か言いかけてやめた。そんな杏が少し気になったがまずは仮面についてだろうと思い追及はしなかった。
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