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隣でルーカが頷き、話を続けた。
『マルティナ様から稽古をつけていただいているうちに、私の婚約者……つまり君に会いたいと言い出されて。ずっと断っていたんだが、自分から一本取れなければ、帰国に合わせてついていくから紹介しなさいと』
結果、ルーカはマルティナから一勝も取れず、マルティナを伴うことになったのだという。
隅で護衛が苦笑いしているように見えたのは、恐らく気のせいではないだろう。
マルティナの腕の筋肉を触らせてもらったところ、信じられないくらい硬かった。なお、この話に関しては、最初は勧められて断ったものの半ば無理やりに触らされる流れになったことを付け加えたいとアマリアは思っている。
会話の最後に、マルティナは楽しそうに口元を歪ませた。
『そうだ。先ほど、迫害を捏造しようとした生徒を調査せねばならないな。この国の法に照らし合わせ、とりあえずは国家反逆罪未遂でいいか? 下手したら両国の関係にひびが入るところだったのだから』
『マルティナ様がそんなことはさせないでしょう?』
『当然だ。しかし、念には念を入れて、だよ』
マルティナはルーカの肩を叩いた。勢いがよすぎてルーカは噎せていた。
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