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――変わらず過ごしています。可憐な花に重ねていただき恐縮です。ビオラが咲いているところをいつか見てみたいものです。きっと、香りもいいのでしょうね。
読んだ本のこと。美味しかった菓子のこと。
他愛のないやり取りが、アマリアにとっては数少ない楽しみなのだった。
◆
いよいよルーカの帰国が決まったとき、アマリアの耳に不穏な噂が飛び込んできた。
『ルーカ様は隣国の王女様に見初められたんですって』
『王女様は我が国に遊学されるそうよ』
『なんでも、騎士団研修の帰国に合わせてお越しになられるのだとか』
隣国は軍事大国であり、この国とは平和協定を結んでいる。
その王女に見初められたということは、国同士にとって大きな意味があるとアマリアにも理解できた。
『現在の婚約者様はどうするおつもりかしらね?』
『何を仰るのかしら。隣国の王女様と比べてはいけませんわ』
すべて、無邪気な小鳥のさえずりだ。
アマリアはつとめて平静を装った。
騎士団が帰国した日、ルーカはアマリアを訪ねてこなかった。
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