18人が本棚に入れています
本棚に追加
蓮とあの女の関係
僕が蓮さんとあの女の関係を知ったのは
衝撃の別れをした1年後だった。
それは友人と世間話をしている時に会話に
出てきたある話だった。
「ねね!!陽知ってる~?」
「何を?」
「最近この近くで男性の叫び声が
よくするんだって」
「叫び声?」
「うん。痛かったら叫ぶじゃん?
それの格上?みたいな感じらしいよ?」
「へぇ~…」
僕は蓮さんじゃないと分かっておきながら
叫び声が聞こえるところまで行ってしまった。
僕が叫び声の聞こえるところに着いたのは
夕方だった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
耳をつんざくような叫び声だった。
でもこの声には聞き覚えがあった。。
「蓮さんだ…でも…なんで?」
蓮さんはあの女と…幸せに暮らしているのでは
無いのか?
もしかしたら…嫌な考えが頭をよぎった。
僕はいつの間にか蓮さんの叫び声が
聞こえた家に行っていた。
「何してんだろ…蓮さんな訳無いのに…」
ピーンポーン…押してしまった…
もう逃げることは出来ない…
「あぁ…もう…こんな時に…何?」
見覚えのある女が出てきた。
家のなかをチラッと覗くと蓮さんと
目があった。
「蓮さん?」
気付いた時には家のなかに入っていた。
「何すんのよ!?」
女が甲高い声で叫んだ。
「蓮さん…蓮さん…なんで?なんで?」
焦った…大好きな人の背中に傷が沢山
ついている。
「陽?ごめんね…ごめんね…でもね…
お願いだから早く逃げて?」
「いやだ…いやだ…蓮さんと一緒に行くの…」
「あぁもう…うるさいわね…早く
出ていきなさいよ。警察に通報するわよ?」
女がまた甲高い声で叫んだ
「勝手に…勝手にしてください!!
どうせ捕まるのはあなたの方ですから。
ね?蓮さん行こう?」
「うん…」
僕は蓮さんの手を引いて女の家を出た。
その時の蓮さんの手はとても震えていて…
冷たかった…。
最初のコメントを投稿しよう!